FとMのダイアローグ15
M
今回のテーマは、『健康』について対話していきます。私は健康という抽象度の高い言葉の中に、運動や睡眠、食事など様々な要素が関連していて、あまり考えすぎると混乱するのでシンプルに考えたいと常々思っています。中々奥深いテーマになりそうですね。Fさんにとって健康とは何ですか?また、健康をどのように感じとるかなど自由にお話しいただきたいです。
F
私は最近、『自分らしい健康』を考えています。睡眠、食事、運動が基本であることに同意です。それらはライフスタイルや年齢などの影響を受けるものですよね。若い時は朝昼夜関係なく仕事もプライベートもたくさん予定を入れてチャレンジと失敗を繰り返すような生活をしていました。自分を追い込んで、どこかに不調が出たらそこで初めて家で休んでケアをして方向性を変え、また走っての繰り返しでした。妊娠を機に“無理をしたらよくない”というブレーキをかけるようになり、健康を意識するようになりました。体調を安定させること、必要な睡眠時間や体質に合う食生活、そして働く時間も意識するようになってきました。健康貯金のようなイメージで、ゆるく意識できていればOKくらいのまだ入口です。Mさんは年齢による影響、健康に対する考え方の変化はありましたか?
M
「健康貯金」という考え方、とても素敵ですね。無理なくゆるく意識し始めているという今のスタンスは、長く続ける上で一番良い入り口だと思います。私自身の「年齢と健康観の変化」についてですが、正直なところ、年齢を重ねたからといって劇的に意識が変わったということはありません。これには、私の「健康観の原点」が関係していると思います。
健康に対する捉え方は、育った環境や、そもそも生まれつき体が丈夫かどうかに大きく左右されますよね。私は幸いにも両親から比較的丈夫な体を授かりました。そのため、若い頃から大病に悩まされることもなく、年齢を重ねてどこかにガタが来て初めて健康を意識する、という一般的な「加齢による健康不安」のルートとは少し違う感覚を持っています。
ただ、意識していないわけではありません。私が健康に気を使う理由は、「自分のパフォーマンスを維持するため」です。 仕事や思考の質を落とさないためには、やはり体調管理が不可欠です。その意味で、睡眠や食事には気を配っています。しかし、ここで一つ大切にしているルールがあります。それは「健康オタクにはならない」ことです。 数値を完璧に管理し、体に良いものだけを摂取して生きれば、確かに健康にはなるでしょう。ですが、健康維持だけが人生の目的になってしまうと、人生全体の彩りや、人間らしい「面白み」のようなものが失われてしまう気がするからです。
丈夫に生んでくれた両親に感謝しつつ、パフォーマンスを保つために最低限のケアはする。でも、人生を楽しむ余白はなくさない。そんなバランスで、これからもゆるく向き合っていきたいと思っています。Fさんの健康観の原点から今について、もう少し深掘りしてお話しいただきたいです。その際に女性が陥りやすいことなども教えていただけると嬉しいです。
F
私の原点は、主観的なウェルビーイング(個人や社会のよい状態)にあります。日々障害をもつ方やメンタルヘルスの不調がある方と出会うお仕事の影響も大きいです。健康とは病気がない状態ではなく、一人一人が自分にとってよい状態を感じられることがとても大切だという考えでいます。想像を絶する困難や病気を経験されながらも、向き合う・付き合うプロセスを通して、最終的にその人ならではの生活の工夫や価値観・人間関係が生まれ、人生を見出していかれる方もとても多くいらっしゃいます。今年も無事に生きていて感謝するとか、道端に小さな花が咲いていて嬉しくなったとか、幸せの実感はむしろ増えていくような印象すら受けるんです。
それは「健康的な社会生活」を送っていると、当たり前すぎて忘れてしまいがちです。最後にはみんな平等に死ぬことが決まっているんですから、道半ばで大きく転んで怪我したって、病気をして一時くらい働けない時期があったっていいじゃないかと思うんです。その経験で不健康になるのではなく、“自分は不健康で悪い状態だ”って念じ続けることが本物の不健康を作り出すのだろう、という考えがあります。“弱い所はあるけど、少し気を付けながらこういう生き方だったら大丈夫だ”って自分を信じられていたら、それはその人らしく健康的ですし体もちゃんと応えていってくれます。その意味で、健康は+(プラス)を積み重ねていけるものという考えがあります。
M
Fさんとの対話を通じて、冒頭で話していた「シンプルに考えたい」という思いの答えが見つかった気がします。私はこだわりが強いので、下手すると健康オタクのようになりそうでして<笑>手段が目的化しないように気をつけています。ただ、今回の対話から健康とは、何か特別なことをして獲得するものではなく、日々の生活の中で自分自身と向き合い、認め、整えていく「生き方の姿勢」そのものなんですね。 体が丈夫であることに感謝しつつも、弱った時にはその弱さから学び、また歩き出す。そうやって自分の人生を肯定しながら進むことが、本当の意味での健康に繋がるのだと感じました。 健康というテーマから、人生の楽しみ方や自分との付き合い方まで幅広く考えることができました。
F
シンプルに考えるということが一つの答えになりそうですね。定期的に健康診断を受けて生活を改善する、病気になったらきちんと治療をする、どのような病気になりやすいか自分の体質を知っておくなど、客観的な指標に基づく健康も同じくらい大切にしています。
ただ、現代は健康情報があまりに多すぎるように感じますし、健康不安を煽ってお金に繋げるような商売が盛んであることは心配しています。成分のよくわからないサプリメントや、エビデンスが不明な自費検査などがたくさんありますよね。
“日々の生活の中で自分自身と向き合い、認め、整えていく「生き方の姿勢」そのもの”という言葉を大切に、あなたらしい健やかな毎日が過ごせますよう応援しています。
ダイアローグとは、単なる情報交換を超え、参加者同士が相手の意見や考えを深く理解し、共感を深めながら、新たな視点や行動の変化を生み出す「対話」を意味します。
組織では、相手と自分との間に「相互理解」と「共通の理解」を築くためのコミュニケーション手法として用いられ、信頼関係の構築や創造性の育成、組織力の向上に繋がります。
組織をマネジメントする立場にある人にとっては欠かせないスキルです。ただ、センスで乗り切っている人が多いと感じる印象もあるので、具体的な対話で学べるように表現してあります。
