会話形式悩み相談ロング

FとMのダイアローグ⑤

感謝する

M
今回は、『感謝する』をテーマに対話したいと考えています。私は日々お会いする方に感謝したいと考えていますが、難しいことも多いです。まずは、Fさんの感謝することについて自由にお話ください。

F
出会いに感謝、一緒に過ごした時間に感謝、存在に感謝という気持ちをもっています。
家族や同僚など身近な人ほど、それが当たり前になってしまいやすいと自分自身が感じています。
小さなことでも日々、感謝を言葉にするようにしています。
ごはんを作ってくれたら“おいしかったよ、ありがとう”
心配してくれたら“気にかけてくれて、ありがとう”
何もなくても、“いつもがんばってくれてありがとう”
“大事に考えてくれてありがとう”
と伝えるようにしています。
自分に感謝を伝える余裕がなかったなと反省したときには、“あのときはすぐに言えなかったけれどすごく助かったよ、ありがとう”と、具体的な場面も入れて後からでも伝えています。

M
日常に感謝できるって素晴らしいと思います。
私は日々、業務に追われて感謝を忘れていることが多いので、後からでも伝えるって大切ですね。
管理職の皆さんにとっては、感謝して毎日を過ごしていても、逆にありがとうを言ってもらえることが少ないと感じる人も多いようで、それがストレスの原因になっている場合もあるようです。そのような場合のマインドの持ち方についてアドバイスいただきたいです。

F
なるほど、管理職だとやっていて当たり前と思われてしまうことが多いということなのでしょうか?とても大変なお立場ですね。

部下からすると当然管理職の業務内容や量は見えません。なので、ここは管理の仕事だけど、ここはあなたの仕事なんですよ、というように具体的な責任範囲の線引きはマネージメントの上で必要になるかもしれませんね。
組織が目指す全体のビジョンのために、それぞれがどのように貢献しているのか会議などで共有できる機会があると、お互いに感謝しあえるのではないでしょうか。

また、管理職の方にはぜひ、ご自分の携わるお仕事と繋げて、広い視野と長期的な視点で社会からの感謝が返ってきていることを見出していただきたいです。制度の実現、街の暮らしの豊かさ、子どもたちや人々の成長や幸福などです。

私は代替がきかない仕事の性質上、妊娠中どうしても休めない状況が多くありました。なんとか一日を終える度に、“今日も一緒にがんばってくれてありがとう”とお腹をなでて感謝をしていました。そこから自分の体をさすりながら、自分に対しても感謝の言葉をかける習慣ができました。
大きな仕事が一段落した後、お風呂で体を洗いながら、眠る前。管理職の方こそ、ご自身の心と体を労わり、感謝の言葉をたくさんかけてあげてほしいと思います。

M
他人と自分との線引きについて組織のビジョンを具体的に共有してフィードバックすることは良い視点ですね。自分の成長に気付けると感謝が生まれやすい状況になりますね。
また、他人に期待するだけでなく自分で感謝のワークを寝る前などに習慣化するのもストレス管理になりそうです。
ところで、Fさんがカウンセリングの中で感謝を伝えるタイミングなどは決めているのでしょうか?それとも流動的に伝えるのでしょうか?


カウンセリングの中では“ありがとうございます”というストレートな感謝の表現をすることはあまりありません。理由としては、クライアントのために行っている作業だからです。“カウンセラーを喜ばせるために”、何かしてあげたいという心の動きになってしまうことを防ぐためです。

“今ここで出会えたこと”、“勇気をもって話してくださったこと”に感謝と尊重の気持ちです。“よくお話してくださいましたね”という表現になることは比較的多いかもしれません。
ただ、あえて強いメッセージをもたせたいときや、ストレートな言葉の方が受け取ってもらいやすい方には、シンプルに“ありがとう”と伝えることもよくあります。

M
なるほど、確かに言葉は鏡なので、感謝を直接伝えると相談者の心のベクトルが自分から相手に向かいますね。では、部下との1オン1の場合は上司のために何かしてあげたいと思わせたいので<笑>ストレートに感謝を表現した方が良さそうですね。

F
確かに信頼している上司から感謝されたら、自分の仕事が役立っていることが実感できるということはありますよね。それがご本人の成長・幸せにもつながるような組織であってほしいなという気持ちになりました。

M
本日もありがとうございました。