会話形式悩み相談ロング

FとMのダイアローグ⑨

時間について

M
今回のテーマは、「時間」です。私は時間ほど貴重なものはないと思っていて、どうすれば自分時間を最大化できるかを考えているので最適化信者になっています。子育て中のお母さんに接すると、本当によくやっているなと感じることが多いのですが、Fさんは時間に関しての考え方や工夫などはありますか?

F
Mさんと一緒にお仕事をさせていただくと、時間を貴重なものとして大切に過ごされ、そして時間について考えることを心から楽しんでいるように見えます。時間の最適化とは、例えばどのようなことをいうのでしょうか?

M
時間最適化の概念を伝えるということですね。おそらく、私の時間の使い方を伝えても、皆さん状況が違うので参考にならないでしょう。また、価値観や環境、エネルギーレベルなどが関係してくるので人それぞれだとは思いますが、少し具体的に説明できるようにしてみますね。Fさんとの対話で自分だったらこうしますという提案をさせていただきます。まず、土台は睡眠だと思いますので、Fさんは平日と休日で起床時間や就寝時間を変えていますか?また、自分はどの程度寝ることができると体調が良いと感じますか?睡眠の価値観についても教えていただければ嬉しいです。

F
就寝時間は多少変えていますが、起床時刻は変えていません。翌日に仕事がない夜は寝かせた後で少し遅くまでゆっくり趣味の時間に当てていることが多いです。なのでのんびり起きたいところですが、こどもたちが早起きで休日も決まった時間で起きてきます(笑)乳児期に細切れ睡眠が続いた時期は、寝不足で些細な事で苛立ってしまうこともありました。そのときの経験や、もともと長めに眠るタイプなので、できるだけ7,8時間確保するようにしています。

M
日々の努力に頭が下がります。経験上、女性が夜の時間を作って趣味や仕事をしていることはよく聞きますし、実際私の職場にも多くいました。文書作成したファイルを受け取って、その更新履歴を見て寝てないのかと心配になったこともあります。お子さんがいる母親だと、お子さんの人数にもよりますが、コントロールできない状況も多いと思います。ただ、Fさんのように基本的に8時間は確保するなどして、睡眠時間を確保することは重要です。また、起床時間については休日平日関係なく固定する方が時間管理の観点からは望ましいことだと思います。お子さんの年齢にもよるので、この時点で難しいと感じる方も多いと思いますが、子どもがしっかり寝ることも重要なので試行錯誤して子どもの睡眠の確保を優先してから自分のことに移行することも検討してみて欲しいです。
では、次に睡眠前後の時間の使い方です。寝る前と起床後の30分はどのように使っていますか?決まったルーティンがあったりするでしょうか?

F
こどもが小さい時期にまとまった自分時間を作りたいと思うと、割り切って誰かに預けるか、こどもたちが眠っている時間帯になりますよね。夜の静かな自由時間は楽しみでもありますし、仕事には〆切やまとまった集中時間、そしてキャリアや評価がありますので、睡眠時間を削ってでも“今やりたい!”が溢れてくる気持ちも理解できます。ただ、Mさんのいうようにこどもの睡眠時間確保や睡眠リズムを作ることの大切さは実証されていますし、思い切って合わせてしまうことで親の健康や時間管理にも役立つというヒントもありそうです。
寝る前はわりと最近まで早々こどもと一緒に寝落ちしていました。別々になってきてからは、ぼーっとしながら一日をふりかえり自由に考え感じる時間です。読書、ラジオを聴く、手帳をつける。アロマスプレーをつけたりクリームをその日の気分で塗ったりして、軽く体をのばして就寝です。ヨガやマッサージをする日もあります。自由に選ぶ時間が楽しみなんです。
朝の30分は猛スピードで食事や身支度をしますが、起床後2分は決まりがあります。①カーテンを開けて日の光を浴びて空を見る、②バルコニーに出るか窓を開けて換気をする、③白湯かお水を飲む、その後は目的地到着まで小走りです(笑)


M
この睡眠前後30分が1日を大きく変化させると私は感じています。なぜなら、寝る前30分は睡眠導入と明日への準備、起きての30分は体に血流を回し1日を最適化する貴重な時間だと考えているからです。この寝る前30分と起きた後30分は ルーティンにした方がいいのではないかと私は考えています。人それぞれ個性があるので一概には言えませんが睡眠が人生の質の土台になるというところを理解しているのであればその前後 30分は睡眠の一部と考えて1日9時間程度はその時間に当てるというのが最も自分のパフォーマンスを上げていくと考えます。細かな手段はここでは述べませんが、はっきり言って正解はありません。個人差が大きすぎると思っています。朝はFさんのように白湯や水を飲んですっきりする人もいれば ラジオ体操をする人もいます。逆に夜は交感神経から副交感神経のスムーズな切り替えが必要になりますのでマッサージやストレッチなどは効果的ですし、人によっては呼吸を意識して整える人もいます。大切なことは意識の向け方で、夜は明日への準備、朝は今日の推進力として自分なりにアレンジして試していくことが重要だと考えています。

またここで、Fさんに質問です。これは深く考えずに思いつくものを教えてください。
①人生で何を体験したいですか?
②どう成長していきたいですか?
③どう貢献していきたいですか?

F
個人差が大きいということは、その通りだと思います。私もいろいろな人の話を聞いたり本を読んだり試したりしてみて、自分に合っていて好きなことだけが自然に残った状況です。家のつくりや場所、時間、体調などがあると思いますので、無理なく合うものを探していけたらいいですよね。「夜は明日への準備、朝は今日の推進力」素敵な言葉です。

私は「自分らしく自然体に過ごす」ということが今の目標です。プライベートも仕事も、小さなことや、今目の前の心が動く瞬間を積み重ねたいと思っています。例えば、いつもは急ぎ足の通勤道を、ゆっくり歩いて散歩する。同じ道でもゆっくり歩くと見える景色や感じ方がちがって新しい発見があるので楽しいです。自分にできることとできないことを判断し気持ちの波を穏やかに過ごすことが自分らしい成長だと考えています。具体的な何かで貢献するよりも、自然体の自分で一緒にいて関わりを続けることが、家族や友人、地域、職場にも貢献できることだと考えています。

M
「自分らしく自然体に過ごす」はFさんらしい答えですね。先ほどの3つの質問は、価値観を知ることが目的です。睡眠時間を確保したら、後は何に時間を使うかですが、価値観が明確でないと重要でないことに振り回されていきます。家族で一緒に過ごす時間を大切にしたいのに、お金を稼ぐことに熱心になり仕事を優先するサラリーマンの状況が想像しやすいかと思います。
また、時間の最適化と効率化を一緒に捉えている人もいるので、ここで違いを説明しますね。
「最適化」は、複数の選択肢の中から最も良いものを選ぶことで、「効率化」は、既存のプロセスを改善して無駄を省くことです。具体的にいうと、最適化は今日は何をするかを選ぶことで、効率化はいつもやっていることを変えずに圧縮してさらに何かを足すことです。
私は効率化もやってみたのですが、これは不足の心理状態からくる取り組みなので結局なんでもやろうとしてパンクします。あれが無い、これが無いと探しても、無い物はいつまでも見つかりません。勿論、全ての時間を自分の価値観に合わせることはできないかもしれませんが、何に時間を使うかを決めておくことは大変重要だと思いますし、それが時間最適化の真髄であると考えています。

F
効率化ともまた違うんですね。自分の価値観にあわせて『何に時間を使うかを決めておくことは大変重要』という点で、事前にテーマと時間を決めてからじっくり深めていくカウンセリングとも通ずるものがあるように思いました。貴重なお話いただき大変参考になりました。ありがとうございました。