FとMのダイアローグ 23
M
今回のテーマは、『選択』について対話していきます。人生は常に選択の連続です。毎日の過ごし方も選択次第で大きく変わります。私は選択を極力減らすように工夫して過ごしていますが、最近は上手くできずにいます。Fさんにとって選択とはどのようなお考えがありますか。まずは自由にお話しいただきたいです。
F
まさにそうですよね。今日の夕ご飯は何を作ろうか選ぶような小さなことから、仕事やライフスタイルなど人生の決断まで選択の連続で今があります。
私はまず判断材料を集めて並べて、最後は直観で決めるスタイルです。そして、選択したことには責任をもてる自分でいたいと思っています。
選択の結果として“あ~失敗したな”と落ち込んだことも何回もあるのですが、“これも何か意味があるんだろうな”とすぐに発想転換する癖があります。そうやってみるといろいろなことが繋がっていって、“失敗だって思っていたけど、この人に出会うためだったんだ”とか、“この試練を経験するためだったんだ”とか予想外の発見が得られるような気がします。
一方で、直観で選び取ることのマイナスもあると思っています。それは自分でも何が何だかわからない状態で選択しているので、頭の中では“別の選択肢を選んでいたらどうだったんだろう?”と引きずってしまうことです。自分の選択に理解が追いつくまでに、相当な時間がかかっているんです。これはけっこう自分の中ではいつも大変です(笑)
Mさんは選択を極力減らすようにされているとのことですが、それは例えばどのようなことなのでしょうか?
M
最後は直感で決めるスタイル、とてもFさんらしいなと思いました。私も最近は論理だけで考えず、「腹で考える」ことを大切にしたいと思っています。
日々の「選択」を極力減らすというのは、普段から心がけていることです。具体的には、朝食のメニューを固定したり、着替えで迷わないように洋服ルーティンを決めたりですね。自分の好みもありますが、持ち物を青色系や黒色系で統一しています。また、そもそも持ち物自体を減らしたりもしています。これいらないんじゃないって発想です。
帰宅したらカバンの中身を必ずすべて出すのも、朝や夜のルーティンも、無駄な選択を減らして「本当に必要な行動」だけに集中するための工夫です。
Fさんのお話を伺っていると、損得勘定ではなく「今の自分に必要か」という内面にある価値観からの直感で選択されているように感じます。そういった傾向は、これまでの職業選択や、あるいは幼い頃からお持ちだったのでしょうか?
F
生活の中で選択肢を減らすことが具体的にわかりました。厳しい状況でも判断を下す立場の方に多いスタイルのように思います。
幼い頃から、本質はなにも変わっていないです。損得でいうならば、おそらく一般的に“損に見える側”に意味を見出すようなこどもでした。あまり周りがやりたがらないような役割や、意見の少数派の人々とかですね。例えば排水溝やお手洗いなど一番汚れるところのお掃除が好きでした。駅のトイレ清掃の姿を観察して、みんながやりたくないけれど、社会に必要なことだからすごいお仕事だなと考えたりしていました。陰徳を積んできていると言われたことがあるんですが、これは自分らしさと重なります。
お仕事や人間関係でも、同じです。どんなにいいと言われても、やり取り後の体が重いとか、どうも気が進まないとか、引っ掛かる言葉があるとか、連絡のタイミングが悪いとか、そういう些細な引っ掛かりがあるものは選びません。気が重いけど選んだこともありますが、それは状況的にそうするしかないためなので、諦めて受け入れていくしかない選択です。
M
いかにもFさんらしい答えですね。私も比較的、人が敬遠することは引き受けてしまうタイプです。全体の負担が減るのなら、自分が動いた方が早いと考えてしまって。
子供の頃の記憶が蘇ってきたのですが、グループ分けの時など、いつも一人になりそうな子たちを集めていました。こうして振り返ると、人間の本質というのはそう簡単には変わらないものですね。
「あえて選択したくない場面で、自分が選んだことはあっただろうか」と自問してみたのですが、というのも、今まさにそのような状況が訪れようとしているからです。気が進まない選択肢であっても、その先に「誰かのためになる」という要素が含まれていると、結局は仕方ないと引き受けてしまう自分がいます。
私は「無駄な選択を減らす」ということを大事にしていますが、一方で「あえて選択を楽しむ場面」というのもありますよね。
例えば、両親へのお土産を選んだり、お花をプレゼントする時に「どれにしようかな」と思い巡らせたりする時間。他にも、ランチの予算を1,200円くらいに設定して、その中で一番コストパフォーマンスのいい組み合わせを探すような時。
あと最近良くあるのは、散歩をしている時に「ああ、今日はこっちの道を歩いてみようかな」と、いつもとは違うルートを気まぐれに選んでみたり。そういった「選ぶこと自体を楽しむ時間」というのも、生活の中ではすごく大事なんじゃないかと思っています。
Fさんにとって選択を楽しむ場面はありますか?
F
Mさんのお話を聞いて、意識的に選択するということは大切なんだなと感じました。確かに気が重いけど選ぶようなことは、“全体のため”ということがありますね。
自分でなにをするのか選択できるための時間があると、それだけで幸せですね。Mさんの選ぶ楽しみも、とても共感できます。毎食食べるものや、作る料理を季節に合わせて選ぶことが好きですね。
コンテンツでも以前あげましたが、自分の時間がなかなかもてなかった時期に、5分から30分単位で自分時間ができたらやりたいことリストを作りはじめました。そこから選ぶという習慣ができています。
最近はまとまった時間ができるようになってきて、スキルアップの時間にあてることが多く、内容を選ぶことに充実感があります。
あとは自分で行く場所を選ぶということも、楽しみになっていますね。
M
日常の選択について、できるだけ考えることを減らして仕事に集中するという考え方がありますよね。ただ、現在の私は、仕事においてそこまで即断即決や個人的な意見を求められる状況にはないため、あえて「選ぶこと」を楽しむタイミングを意図的に作っています。
選択には、人生の行き先が大きく変わるものもあれば、些細であまり変化のないものもありますよね。ただ、Fさんの「やりたいことリスト」や「スキルアップ」のお話のように、日々の微細な選択が将来的な目標に繋がっていると一番腑に落ちるように思います。これは、その時のステージによるため、絶対的な答えはないのでしょう。
ここぞという時には、おすすめはしませんが、睡眠を削って時間を捻出する選択をするのも悪いことではないと思います。私自身も一時期そのような行動をとったことがありました。後悔はしていませんが、今振り返ると、あの頃の自分は焦っていたのだと気づかされます。
今回のダイアローグは、時々立ち止まって「今どこへ向かっていきたいのか」「またどのような状況にあるか」、そして「日々の選択で何を選んでいるのか」について考えてみる、非常に良い機会となりました。
F
結局のところ、日々の小さな選択の積み重ねが、人生の行き先を決めているのかもしれないと思いました。
日常では自分では選ぶことができない状況も当然ありますよね。それでも今回のお話にあったように、立ち止まって選び方を考えてみたり、生活の中で自分の意思で小さな選択をしてみることは、実はすごく大切ですよね。
小さいことで選択する練習をして結果を検証していれば、大きな選択の時機を迎えたときも道が繋がるような気がします。
今回は「選択」をテーマにお届けしました。皆さんも時には立ち止まり、日々の選択を見つめ直す機会をもっていただければと思います。
ダイアローグとは、単なる情報交換を超え、参加者同士が相手の意見や考えを深く理解し、共感を深めながら、新たな視点や行動の変化を生み出す「対話」を意味します。
組織では、相手と自分との間に「相互理解」と「共通の理解」を築くためのコミュニケーション手法として用いられ、信頼関係の構築や創造性の育成、組織力の向上に繋がります。
組織をマネジメントする立場にある人にとっては欠かせないスキルです。ただ、センスで乗り切っている人が多いと感じる印象もあるので、具体的な対話で学べるように表現してあります。
